薬師見習いの恋
「みんな遠慮してるのよ、マリーが頑張ってるから。あんなぽっと出の女にとられて黙ってられる!?」
「だけど、あの人は特別な感じがするから……」
「そんなに美人なの?」
 タニアに聞かれて、マリーベルは黙って頷く。

「ロニーは銀蓮草なんて存在しない物を理由にして、本当はマリーベルと一緒にいたくて村に残ってるんだって思ってたのに」
「ロニーは本当に探してるのよ……」
 マリーベルは力なくタニアに答える。

「仕方ないわ、明日はロニーのところに行く前に私のうちに来て」
「どうして?」

「いいから! 約束よ!」
「わかった」

 タニアの勢いに負けて約束すると、タニアはウィンクをしてよこした。
 いつものタニアの元気につられ、マリーベルの顔に微笑が浮かんだ。
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