薬師見習いの恋
2 勝てない恋敵
 翌朝は約束通りにタニアの家に向かった。
 中に招き入れられて彼女の部屋へ行き、マリーベルは驚いた。

「リリアン、ジゼール、クレマ! どうしてここに?」
 マリーベルと仲の良い女の子たちだ。同年の彼女らとは村の中でもとくに仲良くしている。

「今日はあなたを思いきりおしゃれにしてあげる!」
「とっておきのドレスを貸してあげるわ」
「髪型なら任せて!」
 三人が口々に言い、マリーベルは戸惑ってタニアを見た。

「みんなあなたに協力したいって!」
「……ありがとう!」
 マリーベルは嬉しさに目を細めて四人を見た。

「さっそく着替えてね!」
 タニアの声に、マリーベルは笑顔で頷いた。

 着替えたあとはリリアンがお化粧をしてくれて、クレマが髪を結ってくれた。
 マリーベルでは結えないような素敵なシニヨンに、タニアとジゼールが詰んできてくれたアリッサムを髪に挿して飾る。

「これでどう?」
 出来に満足したようにクレマが言う。

「うん、素敵!」
「かわいい!」
「絶対ロニーもほめてくれるわ!」
 タニアたちが口々にほめてくれる。
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