薬師見習いの恋
「あんたはどこから来たんだい?」
「レミュールからです」

「王都じゃないか! なんでこんな田舎に!?」
「友人を探しに来たのです。ようやく会えてホッとしています」

「友人ってロニーよね?」
 タニアの声がして、マリーベルは驚いた。彼女は桶を持ってエルベラータを見ている。

「そうだよ。大事な友達だ」
 エルベラータはなんでもないことのように答える。

「タニアったら」
 咎めるように声をかけるが、タニアはまったく動じない。

「マリー、どうして一緒に?」
「村の案内をしてて……あれ?」
 気がつくと周囲には村人がたくさん来ていた。

「別嬪さんだねえ」
「ありがとうございます」

「貴族さんかい?」
「……そうですね、貴族です」

「あんたも薬をもらいに来たのかい?」
「いえ、違います」
 エルベラータは質問攻めにあい、苦笑しながら答えている。
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