薬師見習いの恋
「やめてよ、私はただ薬師を目指してるだけだから!」
「はいはい。あとでおばあちゃんが行くからよろしく!」
「わかったわ!」
マリーベルは手を振ってタニアと別れ、再び目的地へと向かう。
「ロニー、おはよう!」
小屋のような小さな家を訪れ、ノックとともに声をかける。
「おはようございます、開いてますよ」
優しげな声に、マリーベルはドアを開ける。
薬の匂いとともに、乱雑な部屋が目に入る。
ドアの右側にはかまどのついた台所があり、大きなテーブルが置かれた土間の奥にはロニーへの私室につながる扉がひとつ。それだけで構成された小さな家だった。
テーブルの上には天秤、真鍮の薬さじ、薬の入った瓶が並ぶ。その正面にロニーが立っていた。
粗末なシャツにズボン、革のベルトというほかの村人と同様の衣服であっても、水のきらめきを集めたような長い銀髪にブルーベルの花のような紫を帯びた青い瞳のきらめき、なによりその造形の美しさは隠しようもない。
ああ、神はどうしてこのように美しい人を作りたもうたのか。
ロニーを見るたびにマリーベルは思う。
対する自分はラネティル王国の端にあるティエム領ナスタール村、このひなびた辺境の冴えない村娘にすぎない。黒髪は日に焼けてぱさぱさ、宵闇のような紺色の瞳は地味で、肌だって貴族の娘のようにきめ細やかとは言いがたい。
だが今は、ロニーを前に目は輝きに満ちていた。
「はいはい。あとでおばあちゃんが行くからよろしく!」
「わかったわ!」
マリーベルは手を振ってタニアと別れ、再び目的地へと向かう。
「ロニー、おはよう!」
小屋のような小さな家を訪れ、ノックとともに声をかける。
「おはようございます、開いてますよ」
優しげな声に、マリーベルはドアを開ける。
薬の匂いとともに、乱雑な部屋が目に入る。
ドアの右側にはかまどのついた台所があり、大きなテーブルが置かれた土間の奥にはロニーへの私室につながる扉がひとつ。それだけで構成された小さな家だった。
テーブルの上には天秤、真鍮の薬さじ、薬の入った瓶が並ぶ。その正面にロニーが立っていた。
粗末なシャツにズボン、革のベルトというほかの村人と同様の衣服であっても、水のきらめきを集めたような長い銀髪にブルーベルの花のような紫を帯びた青い瞳のきらめき、なによりその造形の美しさは隠しようもない。
ああ、神はどうしてこのように美しい人を作りたもうたのか。
ロニーを見るたびにマリーベルは思う。
対する自分はラネティル王国の端にあるティエム領ナスタール村、このひなびた辺境の冴えない村娘にすぎない。黒髪は日に焼けてぱさぱさ、宵闇のような紺色の瞳は地味で、肌だって貴族の娘のようにきめ細やかとは言いがたい。
だが今は、ロニーを前に目は輝きに満ちていた。