薬師見習いの恋
「フロランにロニーを呼びに行かせた。今ならまだ遠くに行ってないはずだ。そのまま近隣の医者と、軍にも救援を頼むように言った。軍にも医者がいる。だが、すぐにはこちらに来られない。それまで君だけで持ちこたえられるか」
「わ、私が!」
「今はこの村にただひとりの薬師だ。君が頼りなんだ」
覚悟して聞いてくれ。
彼女は最初にそう言った。
覚悟、それが今、急にマリーベルに求められる。
ふわふわと薬師として活躍する未来を思い描いていたが、こんな緊急事態は想像したことはなかった。ロニーがいたときみたいに、日々のちょっとした痛みや病気に対して薬を処方していく毎日になると思っていたのに。
この村は、きっとすぐに病人でいっぱいになる。
ロニーは戻って来てくれる。軍がなにをするのかわからないが、手配をしてくれるのだからしばらく凌げばなんとかなるはずだ。
「わかりました。私にできるだけのことをします」
マリーベルは背筋をピンと伸ばし、きりりと答えた。
***
エルベラータはアシュトンを通じて使用人たちに一歩も屋敷を出るなと指示したが、彼ら彼女らはその指示に不満を抱いていた。
「なんだか妙なことになったわね」
メイドのひとりが仲間に愚痴を言う。
「わ、私が!」
「今はこの村にただひとりの薬師だ。君が頼りなんだ」
覚悟して聞いてくれ。
彼女は最初にそう言った。
覚悟、それが今、急にマリーベルに求められる。
ふわふわと薬師として活躍する未来を思い描いていたが、こんな緊急事態は想像したことはなかった。ロニーがいたときみたいに、日々のちょっとした痛みや病気に対して薬を処方していく毎日になると思っていたのに。
この村は、きっとすぐに病人でいっぱいになる。
ロニーは戻って来てくれる。軍がなにをするのかわからないが、手配をしてくれるのだからしばらく凌げばなんとかなるはずだ。
「わかりました。私にできるだけのことをします」
マリーベルは背筋をピンと伸ばし、きりりと答えた。
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エルベラータはアシュトンを通じて使用人たちに一歩も屋敷を出るなと指示したが、彼ら彼女らはその指示に不満を抱いていた。
「なんだか妙なことになったわね」
メイドのひとりが仲間に愚痴を言う。