薬師見習いの恋
「そうよねえ、風邪がひどいくらいのものなんでしょう? なのに屋敷の全員に外に出るなって。なに考えてるのかしら、あの王女様」
「今までなんでもわがまま言って来たんでしょうね」
「もうすぐレミュールに帰るのよね?」
「お目当てのロニーが先に出発したからね。本当はお医者様と一緒に、近々この村を出て行く予定だったそうよ」
「定期的にお医者さまが来るようにしてくれたのだけはありがたいわね」
そうね、とメイドは笑う。
「でもマリーは失恋確定ね。かわいそうに」
「仕方ないわ、相手が王女様じゃ」
「お美しくて、身分もあって。どんな男だって王女様を選ぶわよねえ」
「そもそもロニーも貴族だったんでしょ? だったら王女様相手じゃなくても無理だったかもね」
ふたりは気の毒そうにため息をつく。
「それはともかく、家族に帰れないことを伝えて来たいわ」
「そうよねえ」
言いながら、ごほごほ、と彼女は咳をした。
「あらやだ、あなたエンギア熱じゃないでしょうね」
「まさか、私はあのお医者様と会ってないのよ。お医者様の看病をするメイドは限られているし、服は脱いだらすぐに煮沸消毒、やりすぎよねえ。手を石鹸で洗うだけでは足りなくて、強いお酒で消毒するんですって。もったいないったらないわ」
彼女はそう言って笑う。
「今までなんでもわがまま言って来たんでしょうね」
「もうすぐレミュールに帰るのよね?」
「お目当てのロニーが先に出発したからね。本当はお医者様と一緒に、近々この村を出て行く予定だったそうよ」
「定期的にお医者さまが来るようにしてくれたのだけはありがたいわね」
そうね、とメイドは笑う。
「でもマリーは失恋確定ね。かわいそうに」
「仕方ないわ、相手が王女様じゃ」
「お美しくて、身分もあって。どんな男だって王女様を選ぶわよねえ」
「そもそもロニーも貴族だったんでしょ? だったら王女様相手じゃなくても無理だったかもね」
ふたりは気の毒そうにため息をつく。
「それはともかく、家族に帰れないことを伝えて来たいわ」
「そうよねえ」
言いながら、ごほごほ、と彼女は咳をした。
「あらやだ、あなたエンギア熱じゃないでしょうね」
「まさか、私はあのお医者様と会ってないのよ。お医者様の看病をするメイドは限られているし、服は脱いだらすぐに煮沸消毒、やりすぎよねえ。手を石鹸で洗うだけでは足りなくて、強いお酒で消毒するんですって。もったいないったらないわ」
彼女はそう言って笑う。