薬師見習いの恋
「おばあちゃんが……」
「マーゴットさんが? どうしたの?」
聞くまでもないかもしれない。だが、聞かずにはいられなかった。
「すごい熱が出て、咳が出てて、喉がすごい痛いって。呼吸も苦しそうで……」
エンギア熱の特徴だ。
「お願い、薬をわけて! おばあちゃんを助けて」
あふれる涙を拭いもせず、タニアはマリーベルにすがりつく。
「大好きなおばあちゃんなの、子供のころは一緒に遊んでくれて、お料理を教えてくれて……」
ひっく、とタニアの喉から嗚咽がもれる。
「お願い、助けて……」
「タニア……」
マリーベルはなにも言えずにタニアを抱きしめた。
しょせん自分はまがい物の薬師だ、と唇を噛んだ。村人より少し薬の知識がある、だからなんだというのだ。まったく一人前ではないし、どうしたらいいのかわからない。
ただただ自分の無力さを呪った。
ロニーならきっと次善の策をさっと出すに違いない。どの薬草がどの効果をもつか熟知しているのだから。
ロニーを呼びに行ったフロランはいまどこにいるのだろう。
うまく会えずに行違ってしまったのだろうか。
もしそうだとしても、誰かお医者様を呼んできてくれないだろうか。軍医にも連絡をすると言っていたが、いつ来るのだろうか。小さな村だから見捨てられてしまったのだろうか。
「マーゴットさんが? どうしたの?」
聞くまでもないかもしれない。だが、聞かずにはいられなかった。
「すごい熱が出て、咳が出てて、喉がすごい痛いって。呼吸も苦しそうで……」
エンギア熱の特徴だ。
「お願い、薬をわけて! おばあちゃんを助けて」
あふれる涙を拭いもせず、タニアはマリーベルにすがりつく。
「大好きなおばあちゃんなの、子供のころは一緒に遊んでくれて、お料理を教えてくれて……」
ひっく、とタニアの喉から嗚咽がもれる。
「お願い、助けて……」
「タニア……」
マリーベルはなにも言えずにタニアを抱きしめた。
しょせん自分はまがい物の薬師だ、と唇を噛んだ。村人より少し薬の知識がある、だからなんだというのだ。まったく一人前ではないし、どうしたらいいのかわからない。
ただただ自分の無力さを呪った。
ロニーならきっと次善の策をさっと出すに違いない。どの薬草がどの効果をもつか熟知しているのだから。
ロニーを呼びに行ったフロランはいまどこにいるのだろう。
うまく会えずに行違ってしまったのだろうか。
もしそうだとしても、誰かお医者様を呼んできてくれないだろうか。軍医にも連絡をすると言っていたが、いつ来るのだろうか。小さな村だから見捨てられてしまったのだろうか。