彼がモデルになったら
「何にするの?」

「ブラウニーケーキかな?」

沙織は答えた。

「すごーい!ケーキなんか作ったことない」

「初心者向きらしいよ。コツさえつかめば、大丈夫」

沙織は余裕そうだ。

私は料理しないし…クッキー焼こうかな?うまくできるかな…と心配になる。

蓮君に渡したいけど、上手くいくはずないよね。

蒼といるの見られたから。

蓮君とは廊下で会ってもすれ違うだけだった。

遠目でしか見つめられなくなってしまった。




蒼の顔の傷は日に日に良くなってはいる。

「傷大丈夫?」


と蒼に聞いても忘れたみたいに、
 

「えっ?」って聞き返されて



「全然大丈夫」と笑顔で言われた。

「痛みは?」

「ほぼないかな?前は顔洗うと痛かったけど」

「良かった」

安心して言った。


「傷が消えるまでは気になっちゃうよ」

私が言うと

「勘違いが原因だから。仕方ない」

と蒼は言った。
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