彼がモデルになったら
「あ、太一のチョコ?」

蒼は感づいた様子で言った。


「まぁね」


「あやは?」

蒼が私に言った。


「蓮君に作った。思ったようにはいかなくて」


「見せて」

蒼は笑顔で言った。


私はちょっと迷った。





だって、蒼って私を好きだったんじゃなかったっけ?




好きだとしたら、複雑なんじゃないの?





あ、もう好きじゃないのかもしんない。





人の気持ちは、常に動いてるしね。




戸惑っていたら、後ろに持ってたクッキーの箱を落としてしまった。



中をゆっくりと開ける…………割れてないといい。







割れてたーーーーしかも、1個コンクリの地面に落ちた。


嫌な予感しかしない。



「割れちゃったじゃん、どーすんの?」

蒼は聞いてくる。



「ど…どうしよ」

泣きそう。



こんなの渡せない…

終わった。

< 21 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop