先輩は、はちみつの香り


でも、届けようにも、
カバーを外して見てみても名前は書いていない。



「..................いったい、誰の、なんだろう?」



そう呟いた瞬間。



「もしかして、消しゴム持ってる?」



ズバリ!と、
言い当てたように声が聞こえてきた。



そして、振り返りながら........................



「っ、わ、もっ、持って、ま、」



〝持ってます〟と、
言おうとしたけど、それは言葉にならなかった。



だって、私の目の前には........................



「ははっ。すげー驚いた顔」



キラキラとした、
太陽のような笑顔が特徴的な、
〝はちみつ王子〟こと夏川先輩がいたから。


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