先輩は、はちみつの香り
いつも、藤光先輩目当てとはいえ。
登校待ちをしている私からすると、
こんな近くで会ったのは初めてで。
「......っ、ぁ、の、夏川先輩、です、よね?」
緊張しながら、初めて先輩の名前を呼ぶと。
「......そーだけど、双葉でいーよ?」
なぜか、下の名前を言ってきた夏川先輩。
だけど..............................
「ぅ、ぁの、私、
後輩なんで、夏川先輩で大丈夫です!」
私は、日瀬さんや野々村さんのように、
下の名前+先輩で呼べるほど肝は座ってない。
それなのに。
「ははっ、遠慮する子、初めて。
ねぇ、きみの名前、教えてくんない?」
私のことを笑いながら、尋ねてくる夏川先輩。