先輩は、はちみつの香り


いつも、藤光先輩目当てとはいえ。



登校待ちをしている私からすると、
こんな近くで会ったのは初めてで。



「......っ、ぁ、の、夏川先輩、です、よね?」



緊張しながら、初めて先輩の名前を呼ぶと。



「......そーだけど、双葉でいーよ?」



なぜか、下の名前を言ってきた夏川先輩。



だけど..............................



「ぅ、ぁの、私、
後輩なんで、夏川先輩で大丈夫です!」



私は、日瀬さんや野々村さんのように、
下の名前+先輩で呼べるほど肝は座ってない。



それなのに。



「ははっ、遠慮する子、初めて。
ねぇ、きみの名前、教えてくんない?」



私のことを笑いながら、尋ねてくる夏川先輩。


< 11 / 53 >

この作品をシェア

pagetop