先輩は、はちみつの香り
【03.】弱音は吐くもの
夏川先輩を振り解いて、走った、ハズだった。
...........................のに。
「待って、やよいちゃん!」
うぅ、デジャブだ。
私を追いかけて来たであろう夏川先輩が、
また、私の手首を掴んでいる。
しかも、勝手に名前呼んでるしっ‼︎
「〜っ、ぅ、だから離してくださいっ、!」
「やだ」
「なんでですか!!」
「やなものはやだ」
しかも、子供みたいに駄々をこねて、
理由も言わないで、離してくれない夏川先輩。
夏川先輩は、
〝はちみつ王子〟としてモテるけど。
子供みたいなところがあるなんて、
日瀬さんからも、全く聞いたことがない。
だから..............................
「先輩、モテなくなりますよ!!」
早く手を離して欲しくって、
振り返りながら、力任せにそう言うと。