先輩は、はちみつの香り


「そんなに朝都のこと好き?」



確信を付いたような、
夏川先輩の言葉が、まっすぐ飛んできて。



「.........、すき、ですよ、」



思わず、隠さずにその言葉を告げた。



すると..............................



「............ははっ、だよな。でも、
やよいちゃんが抱え込んで泣いてんのはだめ」



夏川先輩がそう言ってくれたと同時。



手首が離されて、その代わりに、
頭に、ポンッと乗っかった優しい手。



その手が優し過ぎて。



「............っ、ぅ、見てるだけで充分なんです、
でも、時々、苦しくなっちゃうんです、」

「.........ん。いーよ。弱音は吐くものだから。
俺の前では、ちゃんと弱音吐いて。やよいちゃん」



〝弱音は吐くもの〟って認識がなかったのに。



私は、夏川先輩だからこそ、
──────弱音を初めて吐いた。


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