先輩は、はちみつの香り


夏川先輩の背中から、
腕を離せない理由が自分でも分からなくなっていると。



「やよいちゃんには、
1番幸せになってほしーんだよ」



力むように、
腕の力を少し強めてそう言う先輩。



片想いは見てるだけで充分で。



それが楽しいもの.........なのに。



私の〝幸せ〟を、
願ってくれる先輩がいるだけで。



ココロが迷子になる。



それはきっと、先輩の優しさに触れたから。



〝答え〟を出さなきゃいけない時期は、
きっと、すぐそこまで来てるんだと思う。



このまま、
〝報われない片想い〟を続けるのか。



はたまた、諦めるのか。



でも、今の私に、
答えを出すことはきっと無理だっ。



だって、甘いはちみつの香りに翻弄されて。



────先輩の優しさに甘えてしまったから。


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