先輩は、はちみつの香り
【05.】〝はちみつ王子〟の好きな人
先輩と休日に会った土曜日は、
結局、あのまま、我に返ってから。
押しのけるようにして、
無理矢理離れて帰ってきてしまって。
日曜日に、本来ならお礼のLIMEを、
送らなきゃいけないのに、出来ないまま。
月曜日は、なんとなく顔を合わせたくなくてズル休みをしたから。
先輩と会ってから、
3日経った、なんの変哲もない翌週の火曜日。
校門の近くを歩いてる、いま、
なんだか、ジロジロ見られてる気がする。
........................のは気のせいだろうか?
「ねぇ、あの子.........?」
「うん。1年生の矢牧やよい」
「えー、普通......というか、
あたし達より、むしろ地味なんだけど」
私に向かう視線は、
─────どうやら気のせいではないらしい。