先輩は、はちみつの香り


(それにしても、地味って............っ、
自覚してるとは言え、知らない人に言われるのは、さすがに傷つくなぁ、)



心の中でそう思った瞬間。



「矢牧さんのばか!最低!」



聞き覚えのある声と共に、
──────パチンッと叩かれた頬。



目の前には、泣き喚く日瀬さんの姿があって。



「.....................っ、」



思い出されるのは、小学校4年生の頃の記憶。



「矢牧さん、知ってたよね!?
わたしが双葉先輩推しなの!!
なのに、抜け駆けして、王子独り占めして‼︎
王子独り占め厳禁なの知らないの!?」



日瀬さんに、マシンガンのごとく、
一方的に言われていると、嫌でも思ってしまう。


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