先輩は、はちみつの香り


過去形になった気持ちを伝えたからか。



今の、藤光先輩になら、
なんでも言える気がして。



「.........っ、もちろん、好きですよ。
でも、その人には好きな人がいるんです、」

「うん?」



〝その人〟



つまり、夏川先輩に対する気持ちを口にした。



でも、夏川先輩に対する、
気持ちを隠すことなんて出来ないけど。



「その人は、私の幸せを願ってくれました。
だから、今度は私がその人の幸せを願います」



夏川先輩に、
〝好きな人〟がある以上、片想いは確定。



『報われない片想いなんて誰が幸せになんの』



前に、夏川先輩が、
そんなことを言ってた気がするけど。



──────この恋は絶対に叶わない。



そう分かっていても、
見てるだけで充分だから、片想いでいい。


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