先輩は、はちみつの香り
「.........僕たちは帰るから。
ちゃんと、双葉と話しなよ」
ふわりと、風に乗るようにそう言うと、
藤光先輩は、そのまま沙菜ちゃんの手を握って歩き出した。
...........................まさか、ね?
(藤光先輩が気を利かせて、くれた、の?)
半信半疑、だんだん遠ざかっていく2人の背中を見つめていると。
「えぇ!あっくん!なんで!?
やよいちゃんと一緒に帰らないの!?」
藤光先輩の隣で駄々をこねる沙菜ちゃん。
様子からして、
沙菜ちゃんは知らないようだけど。
「うん。きょーは、帰らない」
そう言うと同時チラッと、
合図のようにこっちを見て、藤光先輩が笑った。