The previous night of the world revolution
ルキハが俺を救ってくれてから、一年以上がたった。

ルームメイトの軛(くびき)からも自由になり、心の重荷が次々と、すとん、すとんとなくなって。

俺はようやく、本来の姿を取り戻した。

最低レベルだった成績は、今では他の追随を許さないほどに良くなった。

お陰で、今日も首席として、卒業式を迎えた。

自分で言うのはおこがましいが…これが、俺の本来の姿だったのだろう。

色んなしがらみに囚われていたせいで、実力が発揮出来なかった。

結局のところ、皆お前を僻んでたんだろう。と言うのがルキハの意見だ。

今思えば、そうなのかもしれない。

だが、もうそんなこと、俺には関係なかった。

過去のことは、もう過去のこととして忘れてしまえば良い。

ウィスタリアの名を持つ名家出身の人間として。名誉ある帝国騎士官学校の首席卒業生として。

一番に名前を呼ばれて、前に出て卒業証書を受け取る俺の姿を、じっと眺めている人間がいた。
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