The previous night of the world revolution
ーーーー一方、その頃。
「…それにしても、ルシェ殿の弟君は、並々ならぬ才能の持ち主のようだ」
五番隊の隊長、リーヴァ・アギリス・ヘルブラットが、仲間達にそう切り出した。
「…確かに、あいつは強かったな」
俺と直接手合わせした騎士団長までも、ぽつりとそう答えた。
強い相手ははっきり強いと認める、この潔さ。どうやら俺の挑発は、毛ほども聞いていなかったらしい。
「そもそも、先に足をつかせたのはあいつだからな。そういう意味では、あいつの勝ちなんじゃねーの?」
面白げに、三番隊隊長が茶化した。
「確かに、そうかもしれないな」
そしてこちらも、否定しない帝国騎士団長。
そもそも、あまり自分の力を誇示するタイプではないのだ。
「あんなものが勝ちなどと言えるものか。卑怯な手を使いおって、あの馬鹿…」
一方で姉さんは、俺がいきなり蹴り攻撃に出たことに憤慨していた。
そりゃそうだ。姉さんが正しい。
「そう言うな。油断した俺が悪いんだ。剣でのみ勝負するなんて誰も言ってない。それに…単純に剣術だけでも、五番隊以上の実力はある」
「…」
俺に一杯食わされたというのに、全く気にしない、貫禄溢れる騎士団長であった。
「それに…これでもう、文句はなかろう」
「あぁ、そうだな」
即同意したのは、五番隊隊長。
「…まぁ、あんな実力見せつけられりゃ、何て言っても僻みにしか聞こえんわな」
「…私はもとより…ルシファーにはそれだけの力があると確信している。異論はない」
三番隊隊長と、姉さんも同意した。
「とはいえ…いくらなんでも年が若過ぎるのではないか?帝国騎士官学校を卒業してすぐの人間が隊長に就任するなど、今までに前例も…」
「つってもなぁ。僻みにしか聞こえねーんだって。あいつが入ってきたら自分が落ちるから必死で止めようとしてるとしか思えねぇ」
唯一反論をしかけた八番隊の隊長に、三番隊の隊長がそう返した。
俺が隊長に就任すれば、当然今いる隊長は一人、隊長の座を失う。
俺より下の隊の隊長も一つずつ、降格ということになる。
つまり俺が五番隊以上の隊長になったら、八番隊隊長のユリギウスは一つ降格して、九番隊の隊長になってしまう訳で。
「そういう意味ではない!私はただ、帝国騎士団の伝統を…」
「必死だなぁ。そんなに降格するのが嫌か?」
「そこまでだ。アドルファス」
ユリギウスが激昂する前に、帝国騎士団長オルタンスは二人の舌戦を制した。
「ユリギウスもだ。意見は色々とあるだろうが…。帝国騎士団は実力主義。そして、彼にはその実力がある。それが全てだ」
「…」
この一言で、全てが決まった。
…俺が辿ることになる、運命が。
「…それにしても、ルシェ殿の弟君は、並々ならぬ才能の持ち主のようだ」
五番隊の隊長、リーヴァ・アギリス・ヘルブラットが、仲間達にそう切り出した。
「…確かに、あいつは強かったな」
俺と直接手合わせした騎士団長までも、ぽつりとそう答えた。
強い相手ははっきり強いと認める、この潔さ。どうやら俺の挑発は、毛ほども聞いていなかったらしい。
「そもそも、先に足をつかせたのはあいつだからな。そういう意味では、あいつの勝ちなんじゃねーの?」
面白げに、三番隊隊長が茶化した。
「確かに、そうかもしれないな」
そしてこちらも、否定しない帝国騎士団長。
そもそも、あまり自分の力を誇示するタイプではないのだ。
「あんなものが勝ちなどと言えるものか。卑怯な手を使いおって、あの馬鹿…」
一方で姉さんは、俺がいきなり蹴り攻撃に出たことに憤慨していた。
そりゃそうだ。姉さんが正しい。
「そう言うな。油断した俺が悪いんだ。剣でのみ勝負するなんて誰も言ってない。それに…単純に剣術だけでも、五番隊以上の実力はある」
「…」
俺に一杯食わされたというのに、全く気にしない、貫禄溢れる騎士団長であった。
「それに…これでもう、文句はなかろう」
「あぁ、そうだな」
即同意したのは、五番隊隊長。
「…まぁ、あんな実力見せつけられりゃ、何て言っても僻みにしか聞こえんわな」
「…私はもとより…ルシファーにはそれだけの力があると確信している。異論はない」
三番隊隊長と、姉さんも同意した。
「とはいえ…いくらなんでも年が若過ぎるのではないか?帝国騎士官学校を卒業してすぐの人間が隊長に就任するなど、今までに前例も…」
「つってもなぁ。僻みにしか聞こえねーんだって。あいつが入ってきたら自分が落ちるから必死で止めようとしてるとしか思えねぇ」
唯一反論をしかけた八番隊の隊長に、三番隊の隊長がそう返した。
俺が隊長に就任すれば、当然今いる隊長は一人、隊長の座を失う。
俺より下の隊の隊長も一つずつ、降格ということになる。
つまり俺が五番隊以上の隊長になったら、八番隊隊長のユリギウスは一つ降格して、九番隊の隊長になってしまう訳で。
「そういう意味ではない!私はただ、帝国騎士団の伝統を…」
「必死だなぁ。そんなに降格するのが嫌か?」
「そこまでだ。アドルファス」
ユリギウスが激昂する前に、帝国騎士団長オルタンスは二人の舌戦を制した。
「ユリギウスもだ。意見は色々とあるだろうが…。帝国騎士団は実力主義。そして、彼にはその実力がある。それが全てだ」
「…」
この一言で、全てが決まった。
…俺が辿ることになる、運命が。