The previous night of the world revolution
「お前、自分の家族が何処に行ってるのか知らないのか」

「兄と姉は仕事でしょう。母親は…何処に行ったんでしょうね?多分実家か…あるいは単に遊びに行ってるんだと思いますけど」

元々、母親は家に寄り付くタイプではないからな。

好きなところを好きなように訪れている。

「貴族の家族ってそんなもんじゃないですか?」

「…うちは、潰れかけの弱小貴族だからな」

ルキハの家族はどうやら、うちよりはお互いのことを分かってるらしい。

うちも姉とは仲良いんだけど…。その他がなぁ。

「まぁ、いたところで特に顔を会わせることもないですし…。姉さんがいたら別ですけど」

「あぁ、姉とは仲が良いんだっけ?」

「いや、姉さんがいたら困りますよ。毎回休暇で会うごとに、」

「誰がいたら困るって?」

…血の気が引く、というのはこういうことを言うのだと思った。

…今の、声は。

がしっ、と後ろから誰かに肩を掴まれ…俺は首だけぐきき、と後ろに捻った。

すると、そこには。

「げ。ね、姉さん…」

「随分な態度だな」

氷点下の眼差しを俺を見下ろす、姉の姿があった。
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