The previous night of the world revolution
全国の、ブラック企業に苦しむ労働者達よ。

今日から、俺を踏み台にしてくれ。

あぁ、帝国騎士団の隊長よりはましな労働条件だから、頑張ろう。

そう思って、今日を生きてくれ。

そしてもう一つ大事なこと。辞めるのもまた権利である。



…なんて冗談はさておき。

俺は結局、オールで書類の山と戦った。

元々俺は超健康優良児で、夜は早く寝て、朝は遅く起きるという早寝遅起きの生活が身に付いている。

寝る子は育つって奴だ。

それなのにルキハは、それだけ寝てる割にはお前俺より身長低いよな、と心を抉るようなことを言ってくるのだが、まぁそれは聞かなかったことにして。

そんなロングスリーパーの俺には、オールはさすがにきつかった。

正直なところ、頭がふらついている。

それだけやっても、やはり約束の刻限までには仕事を済ませるのは不可能だった。

始めから無理だと分かっていたが、それでもちょっと不甲斐なかった。

どんな言葉で罵られることかと思っていたが、シャルロッテさんは慇懃無礼に俺を冷たく睨み、何も言わずに終わった分の書類を引ったくった。

怖っ。

更に恐ろしいのは、その後どさっ、と俺の机の上に置いた、次なる書類の山。

今度は、チョモランマ級であった。

ふざけてる場合じゃねーぞ。

「え、ちょ」

「こちらも今日中に。それでは」

これも今日中ってどういうことだと、尋ねる前にシャルロッテさんはさっさと退室した。

「…」

残された俺と、エベレスト(三分の二くらい制覇)、そしてチョモランマ(NEW!)級の、書類の山。

目眩を起こす前に、とにかく手を動かさなければ始まらなかった。
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