The previous night of the world revolution
…誰かが、執務室の扉をノックした。

ような気がしたが、幻聴だと思って無視していた。

「る…ルシファー?」

返事がないことを訝しんだのか、誰かさんはこそっ、と扉を開けた。

「…!?」

「…あぁ、こんにちはシャルロッテさん…」

俺は頭を上げもせずに、ぼけーっと机に頬をつけて放心していた。

俺の部屋に入ってくるのはシャルロッテさんで、きっとまた山の追加か、あるいは小言を言いに来たのだろうと思っていた。

それ以外の人物が訪ねてくるなんて、思ってもみなかった。

「ルシファー、大丈夫か!?」

「今日はモンブランですか?それとも趣向を変えてアエテルニタス山脈…」

「しっかりしろ!」

肩をがしっ、と掴まれて、あれ?と思った。

…もしかして、シャルロッテさんじゃない?

「…誰?」

「ルキハだ、ルキハ!しっかりしろ!」

「あぁ…ルキハ…」

なんだか何処かで、聞いたことのある名前だ。

しかもその名前って確か、俺にとって大切な人の…。

…と、そこまで思い出して、ようやく俺は少し覚醒した。

「…ルキハさん?」

「大丈夫かお前?」

ルキハは珍しく、血相を変えていた。彼がこんな顔をするとは、珍しい。

「ちょっと…お前、とりあえず寝ろ。話はそれからだ」

「でも寝てたら…。寝ちゃ駄目なんです、俺…」

「寝ないなら腹にパンチするぞ。良いから寝ろって」

「…」

その時点で、俺はもう半分寝ていた。

多分白目剥いてたから、ルキハはびびったと思う。

ルキハに強制的にベッドに送還され、俺は一週間ぶりに、まともに眠ることが出来た。
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