The previous night of the world revolution
sideルシファー
ーーーーー…目が、覚めると。
そこは医務室で、腕に点滴の管が繋がっていて、そしてルキハがいた。
少し眠ったことで、俺の頭はすっきりとしていた。冷静な判断も出来るようになっていた。
あんまりよく覚えていないが、確かルキハが訪ねてくれたのだ。
そして、ルキハが目の前にいることで緊張が解けて…で、そのまま眠ってしまった。
それを、ルキハがここまで運んでくれたのだろう。
医師には随分心配そうな顔をされたので、多分酷かったんだろうな。自分ではあまり自覚ないけど。
久し振りにまともに寝て、俺は改めて…現状について、冷静に考えられるようになった。
「お前あの副隊長に、仕事押し付けられてるんだろ」
「…」
ルキハにそう指摘されて、俺は反論しなかった。
実はそれに関しては、既に気づいていた。
三日目くらいだったか。さすがにこれおかしいな、と頭の中の冷静な部分が気づいた。
あまりにも不自然過ぎるから。
いくら隊長は忙しいと言っても、毎日こんなたくさんの仕事をしていたら、姉さん達が生きていられるはずがない。
渡される書類も、まだまだ期限は先のものや、俺でなくても、副隊長や分隊長でも事足りるような内容のものが多く混ざっていた。
明らかにこれは、必要以上の量の仕事を渡されている。
そのことには俺も気づいた。気づいていたけど、何も言わなかった。
「…そうですよね。やっぱり」
「…気づいてんなら、何で言わないんだ」
「…」
…そう簡単に受け入れられるとは、思っていなかったから。
彼女の名前は、シャルロッテ・レギンヒルトと言った。
名前からして分かるように、彼女は貴族じゃない。
貴族の人間は、姓と名の間に、ノーブルネームといって、もう一つ名前が入る。俺の『ルド』がそうだし、ルキハの『シェルシュ』がそれに当たる。
でも彼女にはそれがない。つまり彼女は、庶民の出なのだ。
更に、少し調べたところによると…現在の一番隊の副隊長の名前は、テルミット・レギンヒルトという人物らしい。
シャルロッテの、兄に当たる人だ。
そして、俺が四番隊の隊長になったことで…降格して、隊長の座を奪われた元十番隊の隊長。
俺が入ってきたせいで、シャルロッテさんの兄は隊長を降ろされた。
どんな気持ちであったことだろう。
庶民の出で、貴族の子女ばかりが上位を占める帝国騎士団の隊長の座に上り詰めるなんて、どれほど血の滲むような努力をしたことか。
それほど努力して、彼女の兄はようやく隊長になれた。でも、それも結局…貴族の名家出身の俺が出てきたせいで、あっさり降格処分。
こういう人がいるだろうということは、俺も予想していた。でも、それが帝国騎士団なのだ。実力を持つ者が、上に立てる。
俺だって、明日もし、俺より実力を持つ人が騎士団に入ってきたら…あっさり降格させられるだろうし、それについては覚悟もしている。
でも…納得出来るかと聞かれたら、それは別の話なのだろう。
シャルロッテさんは多分、俺のことが妬ましかったのだろう。
貴族の生まれで、苦労もせずに育って、騎士官学校を首席で卒業してすぐに隊長に抜擢された。
自分や自分の兄が必死に努力しているのを嘲笑うように、名家出身の俺が何の苦労もなく出世して。
だから俺を潰そうと、明らかに過剰な仕事を押し付けた…。
俺はそのことに、気づいていた。
そこは医務室で、腕に点滴の管が繋がっていて、そしてルキハがいた。
少し眠ったことで、俺の頭はすっきりとしていた。冷静な判断も出来るようになっていた。
あんまりよく覚えていないが、確かルキハが訪ねてくれたのだ。
そして、ルキハが目の前にいることで緊張が解けて…で、そのまま眠ってしまった。
それを、ルキハがここまで運んでくれたのだろう。
医師には随分心配そうな顔をされたので、多分酷かったんだろうな。自分ではあまり自覚ないけど。
久し振りにまともに寝て、俺は改めて…現状について、冷静に考えられるようになった。
「お前あの副隊長に、仕事押し付けられてるんだろ」
「…」
ルキハにそう指摘されて、俺は反論しなかった。
実はそれに関しては、既に気づいていた。
三日目くらいだったか。さすがにこれおかしいな、と頭の中の冷静な部分が気づいた。
あまりにも不自然過ぎるから。
いくら隊長は忙しいと言っても、毎日こんなたくさんの仕事をしていたら、姉さん達が生きていられるはずがない。
渡される書類も、まだまだ期限は先のものや、俺でなくても、副隊長や分隊長でも事足りるような内容のものが多く混ざっていた。
明らかにこれは、必要以上の量の仕事を渡されている。
そのことには俺も気づいた。気づいていたけど、何も言わなかった。
「…そうですよね。やっぱり」
「…気づいてんなら、何で言わないんだ」
「…」
…そう簡単に受け入れられるとは、思っていなかったから。
彼女の名前は、シャルロッテ・レギンヒルトと言った。
名前からして分かるように、彼女は貴族じゃない。
貴族の人間は、姓と名の間に、ノーブルネームといって、もう一つ名前が入る。俺の『ルド』がそうだし、ルキハの『シェルシュ』がそれに当たる。
でも彼女にはそれがない。つまり彼女は、庶民の出なのだ。
更に、少し調べたところによると…現在の一番隊の副隊長の名前は、テルミット・レギンヒルトという人物らしい。
シャルロッテの、兄に当たる人だ。
そして、俺が四番隊の隊長になったことで…降格して、隊長の座を奪われた元十番隊の隊長。
俺が入ってきたせいで、シャルロッテさんの兄は隊長を降ろされた。
どんな気持ちであったことだろう。
庶民の出で、貴族の子女ばかりが上位を占める帝国騎士団の隊長の座に上り詰めるなんて、どれほど血の滲むような努力をしたことか。
それほど努力して、彼女の兄はようやく隊長になれた。でも、それも結局…貴族の名家出身の俺が出てきたせいで、あっさり降格処分。
こういう人がいるだろうということは、俺も予想していた。でも、それが帝国騎士団なのだ。実力を持つ者が、上に立てる。
俺だって、明日もし、俺より実力を持つ人が騎士団に入ってきたら…あっさり降格させられるだろうし、それについては覚悟もしている。
でも…納得出来るかと聞かれたら、それは別の話なのだろう。
シャルロッテさんは多分、俺のことが妬ましかったのだろう。
貴族の生まれで、苦労もせずに育って、騎士官学校を首席で卒業してすぐに隊長に抜擢された。
自分や自分の兄が必死に努力しているのを嘲笑うように、名家出身の俺が何の苦労もなく出世して。
だから俺を潰そうと、明らかに過剰な仕事を押し付けた…。
俺はそのことに、気づいていた。