The previous night of the world revolution
「…何の用ですか」

およそ十分後、ルキハがシャルロッテさんを連れてきてくれた。

シャルロッテさんはかなり不機嫌そうで、どうにも話しづらい。

だが、黙っている訳にもいかない。

気を利かせたルキハはさっさと退室してくれたので、俺は早速切り出すことにした。

「…わざわざ来て頂いて済みません。シャルロッテさん」

「…そんなことより、何ですか。その情けない姿は」

「…」

「四番隊隊長ともあろう方が、そんな情けない姿では…」

「それ、あなたが言います?」

相変わらずのちくちく攻撃を、俺は今回は…敢えて受けなかった。

初めて俺が反論したものだから、シャルロッテさんは少し怯んだ。

「俺のことをどう思ってくださっても結構です。親の七光りならぬ、姉の七光りだと思われても、世間知らずのお坊ちゃんだと思われても、良いです。腹の中で好きなように馬鹿にしてください」

「…な、何を…」

「でも、俺が目障りだからって…。仕事を過剰に押し付けて潰そうなんて、悪質過ぎるんじゃないですか」

それを言われて、シャルロッテさんは図星を突かれたような顔をした。

あぁ、やっぱりそうだったか。

別に軽蔑したりはしない。俺の存在が不快な人は多いだろう。好きなように疎んでくれれば良い。好きになって欲しいなんて頼んでない。

これから少しずつでも、受け入れられるようになれば良いなと思っているだけだ。

でも、今回は駄目だ。明らかに、これはやり過ぎだ。

「…こんなことを言えば、俺は余計に嫌われるんでしょうね。あなたの反感を買うだけだと分かっています。分かっていますが…俺もあなたの思い通りに潰されてあげるのは、癪ですからね」

「な、ん…の、ことを」

「うん。この期に及んで言い訳はやめてくださいね」

いっそ開き直ってくれるほどでないと、張り合いがない。

ちょっと反撃されたくらいで、怯まないでくれないか。

そういう馬鹿な人間にコケにされたかと思うと、腹が立ってくるから。

「…あんまり調子乗ってると…怒りますよ?」

そのとき自分が、どんな顔をしていたのかは分からないが。

笑っていないのは、確かだった。
< 147 / 626 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop