The previous night of the world revolution
とはいっても、俺が何か悪いことをした訳ではない。

回り回れば俺が悪いことにもなるのだろうけど、俺が何か過失を犯したのではなく。

部下の失態は、上司の失態、という奴だ。

先日我らが四番隊所属の男性騎士が、あろうことか、休暇中に酒場で一般帝国民相手に暴行事件を起こし。

俺はその尻拭いに奔走させられる羽目になったのだ。

事件を起こした騎士に聞くと、酒に酔って口論になり、つい手が出てしまったとのこと。

馬鹿だなぁ…と俺は天を仰いだ。

幸い殴られた方は大きな怪我もなく、向こうも事を大きくしたくないということで、謝罪と治療費の支払いだけで和解ということにしてくれた。

事件を起こした本人も、酷く反省しているようだった。

とはいえ帝国騎士が一般庶民相手に暴行事件を起こして、ごめんなさいで済まされる訳がない。

本人には規定通りの厳しい処罰を課し、俺は俺でアホな部下の尻拭いの為に、あちこち頭を下げて回った。

そして、ひとまず事が収束したのが、先週のこと。

それで今日は、事件の次第を報告書にまとめて、隊長会議で説明する…そんな、憂鬱な日であった。

事件を起こしたのは俺ではないとはいえ、元を正せば俺の指導が行き届いていなかったことにある。

そもそも俺が若輩者で、部下に舐められているからか…ここ最近、四番隊はやや荒れている傾向がある。

それに加えて、今回の事件。頭が痛くなるというものだ。

案の定、会議では古参の五番隊隊長さんが、俺の指導力の低さを指摘してきた。

「この件の一番の原因は、隊長の統率力の低さにある」

分かっていたことではあるが、結構ぐさっと来た。
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