The previous night of the world revolution
さて、そんな訳で。

週末、俺はウィルヘルミナさんと共に、帝国騎士御用達のタクシーに乗って、帝都を走っていた。

…何故そんなことになったのかというと。





「早速と言っては何だが…。今週末、帝都の某所で、性犯罪被害者の講演会、及び交流会があるんだが、一緒に来ないか?」

「…ほう…」

成程。性犯罪被害者の会、ね。

…。

「…それ、俺行っても良いんですか?」

だって…その、性犯罪被害者と言えば、男である俺は、彼女達にとっては…控えめに言っても、愉快な存在ではないはずだ。

むしろ…。そういう話をする場で、俺の存在は邪魔なのでは?

「生々しい話になるだろうから、気が進まないなら構わないが…」

「あ、いえそうではなく…。単純に、男はお呼びでないのではないかと」

「そんなことはない。むしろ、男性にも知ってもらいたいということで、男性の参加も広く呼び掛けているところだ。そこに貴殿が来てくれると、非常に有り難い」

帝国騎士団の隊長の一人が来たということになれば、それだけで影響力があるからな。

「分かりました。行って良いなら、行きます。予定合わせますね」

「済まない。宜しく頼む」

…と、いう。

そういう、経緯である。
< 160 / 626 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop