The previous night of the world revolution

「貴殿に紹介したい人がいるんだが、来てくれないだろうか」

と、ウィルヘルミナさんは切り出した。

「はい。えーと。どちら様で？」

「一般帝国民なんだが、孤児院育ちの女性で、私と同じく女性の権利問題に携わっている第一人者だ」

「へぇ…」

「個人的にも彼女とは親しくしていてな。これからもこの活動を続けていくなら、彼女とも会って欲しい」

成程成程。そういうことなら。

「分かりました。行きましょう」

「そうか。良かった」

「いつが都合良さそうですか？」

俺は確かに他の隊長達と比べると暇を持て余してるが、いつでもアポなしでOKというほど時間がある訳でもないし。

向こうもそれなりに都合があるのだろうから、擦り合わせが必要だろう。

と、思っていたのだが。

「一ヶ月後に丁度、ローゼリア女王陛下の即位8周年式典が開かれるだろう？そこに、彼女も呼ぶつもりなんだ」

「あぁ…。成程、そういうことですか」

およそ一ヶ月後、我がルティス帝国の女王、ローゼリア様の即位記念日がある。

そこで国を挙げての式典が開かれるのだが、式典ではルティス帝国の名のある貴族を始めとして。

分隊長以上の帝国騎士、更に彼らが招いた特別な来賓客など、様々な人が参加する。

ウィルヘルミナさんは、その式典の日に…俺に紹介したいという人を、招待するつもりらしい。

「分かりました。では、そのときに」

「あぁ。宜しく頼む」

どんな人かは分からないが、楽しみにしておくことにしよう。

と、俺は気軽に考えていた。