The previous night of the world revolution
sideルルシー
ーーーーーー…来月開かれる、ローゼリア女王陛下即位記念日の、式典。
それについては、ルシファーから切り出されるまでもなく…俺も把握するところだった。
その式典は我々『青薔薇連合会』にとっても、他人事とは言えない。
何故なら、『青薔薇連合会』の人間も招待されるからである。
式典は一見、『表』の行事に見える。俺達が噛んで良い案件ではない。
けれど俺達『青薔薇連合会』はルティス帝国の政治、経済にも深く根付いている。
帝国騎士団は俺達を排除の対象にしているが、その裏では俺達の存在なくしては国が成り立たない。複雑な均衡状態の上に、今日のルティス帝国がある。
その為、そのような式典には、『青薔薇連合会』も呼ばれることになる。
勿論非公式に、だ。
まさかマフィアですなんて看板ぶら下げて行く訳にはいかないから、表向きはルティス帝国経済に大きく貢献する大企業の役員、という名目で参列する。
まぁ、あながち間違ってはいない。
とはいえ、アシュトーリアさんが自ら足を運ぶことはない。そんなところで帝国騎士団のトップとマフィアのトップが鉢合わせたら、最悪闘争が始まりかねない。
だから代表として、アシュトーリアさんの腹心数名が送り込まれることになる、と俺は聞いている。
具体的に誰かまでは聞いてないが、恐らく…アイズは含まれていると思う。
アリューシャはないな。馬鹿だから。
とにかくその日は、仲間達が帝国騎士団という敵の巣窟に潜り込む日であり、何事も起きないとは思うが、万が一何か起きるかもしれないと、俺は肝を冷やしていた。
心配せずにポジションを演じてくれれば良いと、アシュトーリアさんからは言われたが。
気にかけておくに越したことはない。
当日は、さりげなくアイズ達の傍についているようにしよう…と、考えていたのだが。
そこで、このルシファーからの誘いである。
「ルキハさん、式典一緒に行きましょう?」
「…」
にわかには返事がしがたかった。
勿論、式典には参加するつもりだ。隊長は強制参加だが、副隊長以下は自由参加となっている。でも俺はスパイなので、参加しないという選択肢はない。だから参加すること自体は構わない。
でも、ルシファーと一緒に、と言われると少し返事に困る。
ルシファーが傍にいると、俺は自由に動けなくなる訳で。
さりげなくアイズ達を視界の中に入れておきたい俺としては、言いたくはないが…ルシファーはちょっと、邪魔だ。
だが、断る理由が見つからなかった。
式典に行くつもりはない、とは言えない。どうせ会場に行けばばれるのだから。
そして俺は表向きは弱小貴族の家の出。招待するような人間もいないから、参加するなら一人で行動することになる。
なら、ルシファーが一緒でも良いじゃないか。
確かにそうなのだが…。
「…お前、忙しいんじゃないのか?賓客に挨拶して回ったり…」
「多少はありますけど、俺は所詮、新米隊長ですし。そういうのは先輩達に任せるんで、挨拶とかはほとんどないです」
おのれ。そうだったか。
「…分かった。一緒に行こう」
断る為の合理的な理由が見つからないなら、もうそう答えるしかなかった。
下手に断って、痛い腹を探られても困る。
アイズのことは心配だが…。ここでルシファーに疑われる訳にもいかなかった。
「ありがとうございます、ルキハさん」
何も知らないルシファーは、無邪気に笑った。
当初の予定とは外れてしまったが、仕方ない。これもスパイ活動の一環である。
それについては、ルシファーから切り出されるまでもなく…俺も把握するところだった。
その式典は我々『青薔薇連合会』にとっても、他人事とは言えない。
何故なら、『青薔薇連合会』の人間も招待されるからである。
式典は一見、『表』の行事に見える。俺達が噛んで良い案件ではない。
けれど俺達『青薔薇連合会』はルティス帝国の政治、経済にも深く根付いている。
帝国騎士団は俺達を排除の対象にしているが、その裏では俺達の存在なくしては国が成り立たない。複雑な均衡状態の上に、今日のルティス帝国がある。
その為、そのような式典には、『青薔薇連合会』も呼ばれることになる。
勿論非公式に、だ。
まさかマフィアですなんて看板ぶら下げて行く訳にはいかないから、表向きはルティス帝国経済に大きく貢献する大企業の役員、という名目で参列する。
まぁ、あながち間違ってはいない。
とはいえ、アシュトーリアさんが自ら足を運ぶことはない。そんなところで帝国騎士団のトップとマフィアのトップが鉢合わせたら、最悪闘争が始まりかねない。
だから代表として、アシュトーリアさんの腹心数名が送り込まれることになる、と俺は聞いている。
具体的に誰かまでは聞いてないが、恐らく…アイズは含まれていると思う。
アリューシャはないな。馬鹿だから。
とにかくその日は、仲間達が帝国騎士団という敵の巣窟に潜り込む日であり、何事も起きないとは思うが、万が一何か起きるかもしれないと、俺は肝を冷やしていた。
心配せずにポジションを演じてくれれば良いと、アシュトーリアさんからは言われたが。
気にかけておくに越したことはない。
当日は、さりげなくアイズ達の傍についているようにしよう…と、考えていたのだが。
そこで、このルシファーからの誘いである。
「ルキハさん、式典一緒に行きましょう?」
「…」
にわかには返事がしがたかった。
勿論、式典には参加するつもりだ。隊長は強制参加だが、副隊長以下は自由参加となっている。でも俺はスパイなので、参加しないという選択肢はない。だから参加すること自体は構わない。
でも、ルシファーと一緒に、と言われると少し返事に困る。
ルシファーが傍にいると、俺は自由に動けなくなる訳で。
さりげなくアイズ達を視界の中に入れておきたい俺としては、言いたくはないが…ルシファーはちょっと、邪魔だ。
だが、断る理由が見つからなかった。
式典に行くつもりはない、とは言えない。どうせ会場に行けばばれるのだから。
そして俺は表向きは弱小貴族の家の出。招待するような人間もいないから、参加するなら一人で行動することになる。
なら、ルシファーが一緒でも良いじゃないか。
確かにそうなのだが…。
「…お前、忙しいんじゃないのか?賓客に挨拶して回ったり…」
「多少はありますけど、俺は所詮、新米隊長ですし。そういうのは先輩達に任せるんで、挨拶とかはほとんどないです」
おのれ。そうだったか。
「…分かった。一緒に行こう」
断る為の合理的な理由が見つからないなら、もうそう答えるしかなかった。
下手に断って、痛い腹を探られても困る。
アイズのことは心配だが…。ここでルシファーに疑われる訳にもいかなかった。
「ありがとうございます、ルキハさん」
何も知らないルシファーは、無邪気に笑った。
当初の予定とは外れてしまったが、仕方ない。これもスパイ活動の一環である。