The previous night of the world revolution
…悲報。

来月の式典で、着ていくものがなくなりました。

「…パジャマでも着てくか?」

「…もうそれでも良いような気がしてきました…」

「冗談だ。真に受けるな」

いや、もうそんな冗談言ってる場合ではない。

「どど、どうしましょう?俺何着ていけば良いんでしょうか?」

「落ち着け。仕立て直せば良いじゃないか」

あっ…。仕立て直し。

「成程、その手があったか」

「お前、本当に馬鹿だな」

馬鹿馬鹿言わないでください。

「でも、仕立て直して…間に合いますかね?」

「…怪しいところだな」

礼装用の制服は、一つ一つが注文してから生産するオーダーメイド。それも刺繍は手縫いと来た。

今からおよそ一ヶ月。式典までに間に合うか…かなり怪しい。

頼めば多少急いではもらえるだろうけど…。

「…いっそ、タキシードをあつらえた方が良いんじゃないか?」

「タキシード…」

「その方が早いだろう」

確かに、今から礼装用の制服を仕立て直すより…タキシードを作った方が早い。

早いけども。

「俺タキシードなんて似合わないですよ…」

「パジャマで出るのとどっちが良いんだ」

「うぅ…」

どうやら、もう考えている暇はないようだ。
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