The previous night of the world revolution
「お前は、何故それを早く言わなかった」

「だぁってぇ…」

アドルファス殿に四日は頑張る宣言しちゃったし?

仕事が多くて辛いようえーんなんて、姉に泣きつくのは格好悪いし?

それをしちゃうと負けを認めるみたいで悔しいし?

俺が若輩者なのは確かだって自覚もあったし?

まだシャルロッテさんとの仲も修復可能だと思ってたし?

と、様々な理由がある訳だけれども。

「…なんか俺も意地になっちゃって」

「…」

結局は、そういうことだ。

「お前は…本当に馬鹿だな」

あれぇ?なんかデジャヴ。さっきも聞いたぞこの台詞。

気のせいだ、気のせい。

「意地になって身体を壊したら意味がないだろう」

「それは分かってますけども…」

「分かってない。お前は四番隊を背負う身だぞ。一人の身体だと思うな」

はい。

「それにしても腹が立つ副隊長だ。お前がその気なら解任しても良いくらいだぞ」

「いやぁ、それをやっちゃったら俺の敵がまた増えそうじゃないですか」

「秩序維持の為だ。お前は世襲で選ばれた訳でもコネで選ばれた訳でもない。正真正銘、実力を認められて隊長になったんだ。誰にも後ろ指を差される必要はない」

姉さんの言うことが正しい。

正しいのは分かっているけど。

「…敵を排除して解決するよりは、和解して仲良くなって解決した方が、後味良いじゃないですか」

「…」

まぁ、現状シャルロッテさんとは仲良くなれそうにないのだけど。

人間の関係なんて、刻一刻と変化していくものだし。

渋い顔をしていた姉さんだが、それを聞いて、ふっと笑った。

「…全く、お前は甘い男だな」

「甘いもの好きですしね。今日も朝からケーキ食べたし」

「殴るぞ」

「ごめんなさい」

え?ケーキに罪はないと思うんだけど。何で俺が悪いみたいになってるの?

「私の目から見れば、お前はよくやってる。他人の評価は気にせずに、自分のすべきことをやれば良い。分かったな?」

「…はい…」

姉さんが。あの姉さんが。

俺を褒めてくれるだと?

明日の天気は…槍かな。

「…だが調子に乗るなよ」

「…はい…」

さすが姉さん。釘を刺すことも忘れていない。

俺が煽てれば有頂天になる人間だと分かっている。

喜んで良いのか悪いのか…。いや、とりあえず喜んでおこう。
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