The previous night of the world revolution
「貴様。この馬鹿。今回ばかりは看過出来んぞ。馬鹿。馬鹿者。馬鹿め」

「どんだけ馬鹿ですか俺は…」

ひとまず事が収まった直後、俺は姉さんに捕まって、廊下で説教されていた。

「自分が何をしたのか分かってるのか?」

「はい…」

「いいや分かってない。お前は常軌を逸した馬鹿だからな」

…嘘ぉ…。

姉さん、相当お冠のようだ。

何に怒っているのかと言うと、例のリーフリルさんの事件で、俺が単身丸腰で倉庫に入って立てこもり犯の説得を試みるなどという、命知らずなことをやってしまったからである。

確かに悪かったとは思ってるけどさぁ…でもオルタンスが許可してくれたんだし…。

などと心の中で言い訳しても仕方ないので。

「済みません。本当馬鹿なことをしたと思ってます」

ここは平謝りだ。謝っとけばきっと何とかなる。

「貴様。今謝っとけば何とかなると思ってるだろう」

…ばれてる。

さすが姉さん。俺のことをよく分かっていらっしゃる。

「自分がどれだけ危険な真似をしたのか分かってるのか?この馬鹿め。上手く行ったから良かったようなものの、説得に失敗してたらどうなっていたか。馬鹿者」

今日だけで一生分の馬鹿を使い果たされている気分だ。

どうしよう…。姉さん今日はかなり怒ってる。そう簡単には解放してくれないパターンだ。

立ちっぱなしで説教はきつい…!

と、そこに。

「…あ、ルキハ」

偶然そこを通りかかったらしいルキハが、廊下で説教される俺に気づいた。

良かった。ルキハがいれば、少しは説教が緩くなるかも。

お互い目が合って、ルキハは俺とお怒りの姉さんとを、交互に何度か見て。

「…」

すっ…と去っていった。

こ、この裏切り者…!

「大体貴様は最近弛んでいる。ここでみっちりお灸を据えてやろう」

「うぅ…。本当に悪かったと思ってますよ…!」

俺は結局そのまま、二時間くらい説教されたのであった。

俺、今回の件で英雄的な扱いされてもおかしくないのに、こんなのあんまりだ。
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