The previous night of the world revolution

sideルシファー

ーーーーー…大した、お願いではなかった。

でも俺にとっては、物凄く大事なことだった。

「あなたの名前って、ルキハって、それ本名なんですか?」

確か『青薔薇連合会』の人達は、皆コードネームを使ってるって聞いてたから。

彼が『青薔薇連合会』のスパイなら、ティグラーダの家の出身というのは多分嘘なのだろう。ということは、本名は別にあるのではないか?と、思ったのだ。

「いや…本名じゃないが」

あ、やっぱり。

「じゃあ、差し障りなければ…本名を教えてくれませんか。誰にも言いませんから」

「…」

そんなお願いをされるとは思っていなかった、という顔でルキハは固まった。

もっと無理難題を言われると思ったのだろうか?そんなことするはずないのに。

早い話が、俺はただ、彼が存在してくれているだけで満足なのだ。

俺の心の拠り所であってくれさえすれば。

多分もう今後は会えなくなるけど、でも彼の名前を知ることが出来たら。

それだけで、心の中で彼を永遠に生き続けさせることが出来るような気がするから。

「…ルルシー」

ルキハは…いや、ルルシーは、そう言った。

「ルルシー・エンタルーシア。それが俺の名前だ」

「…ルルシー…」

ルルシー。ルルシーさん。

物凄く…素敵な名前じゃないか。なんて甘い響きだろう。

ルキハ、よりずっと良い。

これで、俺は自分を見失わずに生きていける。
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