The previous night of the world revolution
その後、俺はルルシーを無事に逃がす為に、本来の仕事そっちのけで、徹夜までして、あちこちに根回しした。

ルルシーの別に犯人をでっち上げ、偽物の証拠を作った。

別の真犯人をでっち上げても、この時期にルルシーが特に理由もなく退役したら、嫌でも、スパイ事件との関連を疑われる。

そこで、ルルシーは病気を理由として退役することにした。

勿論嘘なので、偽物の診断書を作って、ルルシーとも口裏を合わせてある。

あとのことは、『青薔薇連合会』が上手くやるだろう。

この件だけで、俺はいくつ罪を犯したか分からない。

内通者の存在を知りながらそれを隠蔽し、逃亡幇助の為に無辜の人間に罪を擦り付け。

それでも、俺の中には一欠片ほどの罪悪感さえ沸かなかった。

だから何だ。

俺の優先順位は、何より先にルルシーとの絆があるのだ。

これで良い。これで、ルルシーは無事に逃げられる。

それ以上に大事なことなんて、何処にもない。





俺はいつの間にか、自分の大切なものの為なら、他の誰かを平気で踏みつけられるような人間になっていた。

そのことに、罪悪感すら抱かないほどに。

自分にそこまでの冷徹さがあるということにすら、気がついていなかったのだ。





…このときは、まだ。


< 231 / 626 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop