The previous night of the world revolution
翌週の、隊長会議で。

フレイソナは、調査の結果十番隊の分隊長が内通者であったと報告した。

偉そうに証拠を並べ立て、調査が終了したことを報告するフレイソナを見て、一同は犯人が見つかったことへの安堵に満ちていた。

まんまと騙されてくれた訳だ。馬鹿め。

まぁ、あれだけ色々手を回したのだから、騙されてくれないと困るが。

気の毒なのはあらぬ嫌疑を着せられた十番隊の分隊長だ。

彼を選んだ理由は、実家が落ちぶれていたからだ。

つまり、金に困る要因があったから。

だから『青薔薇連合会』に金で雇われていたことにした。本人もそのように自白するように、手をかけて洗脳までした。

まぁ、彼の人生も、彼の家も、間違いなく再起不能になるだろうけど。

それはもう、俺の知ったことではない。

そんなことより、ルルシーはどうしているだろうか。

今頃、『青薔薇連合会』に戻っているだろうか?

元気にしていると良いのだけど…。

俺の頭の中からは、もう十番隊の分隊長のことは消えていた。

ところで、俺が罪を擦り付けたその十番隊の分隊長の名前。

ベリエス・エル・シュレーゲルというのだ。

…それが俺にとってどんな人間だったか、もう覚えていないけど。
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