The previous night of the world revolution
呼び出しを食らったと聞くと、何か悪いことでもしたんじゃないかと思われるかもしれないが。

別に悪いことなんて何もしてない。

…多分。

しかも呼び出したのはオルタンス。あの、帝国騎士団団長様である。

社長にちょっと俺のところまで来いと言われたら、そりゃびびるだろう。

彼は、人間として決して悪い人ではないのだろうけど。

いまいち何考えてるか分からないし、基本無口だし無表情だし。

上司としては良いけど、友達にはなれないタイプだ。

それでも呼び出されたのだから、部下としては行かない訳にはいかない。

…しかし、ここで一つ問題。

呼び出しの伝言が伝えられたとき、俺はなんと、自室でお昼寝中だったのである。

眠いけど頑張って起きてなきゃなー。いやでも眠い。眠気に勝てない。勝機すら見えない。外はぽかぽかと暖かい陽気。さぁ寝なさいと言わんばかり。

さてどうする。どうすれば眠気を解消出来る。そうだ寝れば良いんだ。一発で解決だ。

ここまで5秒足らずで考えて、よし寝よう、と俺は机に突っ伏して惰眠を貪っていた。

そこに、一番隊から来た伝言係が来室した。

部屋の扉をノックされたくらいでは起きなかったのだが、ノックしても返事がないから、心配した伝言係さんはそっと扉を開け。

そこで机に突っ伏して爆睡する俺を見つけ、これはもしかして病気か何かではないかとおろおろしていたところで、俺が起きた。

顔を上げると、呆然とした伝言係さんの顔があった。

それもそのはず。俺は唇の端から涎を垂らして(昼寝中だった為)、顔には書類の跡がつき(書類の上に突っ伏していた為)、前髪もくしゃくしゃ(変な体勢で寝ていた為)。

大丈夫ですか…?とマジ顔で聞かれた。

体調が悪いのではないかとも聞かれたが、いや、単に昼寝してただけなんですよ、とも言えないので。

適当にあはは、と誤魔化しておいて、オルタンスが呼んでいるということを伝えられた。

さぁこうなると大変。まさかこのお昼寝後の格好で行く訳にはいかないので。

伝言係さんが退室してすぐ、俺はバスルームに走って顔を洗った。

まぁ、ペンで落書きされた訳じゃないから良かった。

速攻で顔を洗い、前髪はヘアピンで留めて誤魔化し。

書類の跡は気にしないことにして、俺はひやひやしながらオルタンスの部屋に直行した。
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