The previous night of the world revolution
ローゼリア・クラウディナ・ベルガモットと言えば、ルティス帝国で知らない者はいない。

言わずもがな、ルティス帝国の現統治者であり。

そして、俺が仕えるべき主である。

帝国の子供達は皆、ローゼリア女王とベルガモット王家に忠誠を誓うように、彼女こそが全てのルティス帝国民の上に立つべき存在だと信じるように教え込まれる。

貴族の人間として生まれ、将来帝国騎士団に入ることを強制された俺にとっては、正に絶対君主であった。

彼女がルティス帝国のトップにいることに疑いを抱くことはなかったし、彼女を守る為であるなら、命を投げ出しても悔いはなかっただろう。

…まぁ、後になって思えば、あんな女の為に死ぬなんて、考えただけで反吐が出るが。

しかし当時は…帝国騎士官学校での徹底した教育の賜物で、俺は盲目的に王家を崇拝していた。自分は国の為に、王家の為に死ぬのだと思っていた。



…それが崩れたのは、アシスファルト帝国から帰って、一月足らずのことであった。


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