The previous night of the world revolution
「姉さん、あれですよ。俺のお土産はお菓子で。お菓子でお願いしますね。甘い感じの奴。出来ればチョコレート系で!」
「催促をするな。時間があれば探してみるが、時間がなければなしだ」
「姉さん~…」
そりゃないよ。俺だって買ってきたじゃないですか。お土産。
「情けない声を出すな、帝国騎士団四番隊の隊長ともあろう者が…」
「いや、俺隊長である以前に姉さんの弟なので」
「都合の良いときだけ子供になるなと、何度言ったら分かる」
だって、俺最近、よく小学生扱いされるんだもん。
そんなこと言ってるけど、姉さんはいつも俺にお土産買ってきてくれるのだ。
…さて。
とりあえず、今がどういう状況なのか説明するとしよう。
俺がアシスファルト帝国から帰って二週間ほどたった頃、今度は姉さんに長期の出張命令が出た。
正しく言えば、姉さんだけじゃない。姉さんと、アドルファスと、それから六番隊のリーヴァ、この三人で。
今度はアシスファルトより更に遠くだそうだ。
姉さんとリーヴァはともかくとして、アドルファスは大変だろうなぁと思った。この間帰ってきたばかりなのに。
しかしアドルファスとしては、普段の通常業務よりずっと気が楽だと言って快く引き受けたらしい。
生来、一ヶ所に留まっているのは性に合わないのだろう。
今回、俺とオルタンスは出張メンバーからは外された。
オルタンスは元々帝国騎士団長であり、ローゼリア女王も同然の存在。
そう度々国を空ける訳にはいかないということで、今回は出張メンバーには加わらなかった。
そして何故俺が、出張メンバーに選ばれなかったのかというと。
言わずもがな、俺の激しい飛行機酔いにある。
今回はアシスファルトより更に遠くで、飛行機に乗る時間も長い。
考えただけで吐き気が込み上げてくるので、とてもじゃないが一緒に行くことは出来ない。
そんな訳で俺は、ルティス帝国でお留守番である。
でもお土産は欲しいので、こうして仕事の合間を縫って姉さんのもとを訪れ、直談判。
あれこれ言いつつ毎回何かしら買ってきてくれるので、やっぱり姉さん大好き。
「飛行機酔いには注意してくださいね。酔い止め、あれは飲んどくべきですよ。まぁ飲んでても酔いましたけど」
それだけはしっかり忠告しておかねば。あんな辛い思いは二度としたくない。
しかし。
「言っとくが、私はもう何度も飛行機に乗ったことはあるし、酔ったことは一度もないんだからな」
「え。何それずるい。姉さんには分からないんだ。大好きなお菓子が機内食に出されたのに、吐き気のせいで食べられないあの苦しみが!」
「そんなことで苦しむのはお前くらいだ」
ふん。言ってれば良いんだ。舐めるなよ飛行機酔いを。
経験した者にしか分からないんだ。
何で姉弟なのに俺だけ酔うの?あれって体質?体質なの?
「とにかく、私のいない間、しっかり留守を守るんだぞ。良いか?あと、羽目を外して馬鹿なことをするんじゃないぞ」
「俺が何を馬鹿なことをしたんですか」
「ほう?プリンパーティーとか言ってプリンをどか食いしたり、紅茶に砂糖を四杯も入れたことを忘れたか?殴れば思い出すか?」
「ちょ、振りかぶらないで怖い!」
姉さんの言ったことは事実である。過去俺は、一人で数種類にも及ぶプリンを用意してプリンパーティー、略してプリパを開催したり。
自分へのご褒美~、と紅茶に砂糖を四杯、どさどさ入れて極甘紅茶を作成したことは、確かにある。それは認める。
でも姉さんのタイミングの良さも異常だと思うんだ。そういうことを俺がやろうとした、またやってる最中にいきなり現場に現れて、現行犯逮捕される。
もしかして外でタイミング図ってたんじゃないかと思うくらいだ。
「やりませんよ、そんなこと。…多分…」
「おい。何だその頼りない返事は」
だって俺がプリパを開催出来るのは、姉さんの目が届かないときだけだし…。
「そんな…いつまでも子供じゃないんですから、もうちょっと信用してくれても良くないですか?」
「私にとっては、お前はいつまでも子供で、馬鹿な弟だ」
この言いぐさ。酷いと思いません?
…だが、この頃はまだ良かったのだ。
だって。
「催促をするな。時間があれば探してみるが、時間がなければなしだ」
「姉さん~…」
そりゃないよ。俺だって買ってきたじゃないですか。お土産。
「情けない声を出すな、帝国騎士団四番隊の隊長ともあろう者が…」
「いや、俺隊長である以前に姉さんの弟なので」
「都合の良いときだけ子供になるなと、何度言ったら分かる」
だって、俺最近、よく小学生扱いされるんだもん。
そんなこと言ってるけど、姉さんはいつも俺にお土産買ってきてくれるのだ。
…さて。
とりあえず、今がどういう状況なのか説明するとしよう。
俺がアシスファルト帝国から帰って二週間ほどたった頃、今度は姉さんに長期の出張命令が出た。
正しく言えば、姉さんだけじゃない。姉さんと、アドルファスと、それから六番隊のリーヴァ、この三人で。
今度はアシスファルトより更に遠くだそうだ。
姉さんとリーヴァはともかくとして、アドルファスは大変だろうなぁと思った。この間帰ってきたばかりなのに。
しかしアドルファスとしては、普段の通常業務よりずっと気が楽だと言って快く引き受けたらしい。
生来、一ヶ所に留まっているのは性に合わないのだろう。
今回、俺とオルタンスは出張メンバーからは外された。
オルタンスは元々帝国騎士団長であり、ローゼリア女王も同然の存在。
そう度々国を空ける訳にはいかないということで、今回は出張メンバーには加わらなかった。
そして何故俺が、出張メンバーに選ばれなかったのかというと。
言わずもがな、俺の激しい飛行機酔いにある。
今回はアシスファルトより更に遠くで、飛行機に乗る時間も長い。
考えただけで吐き気が込み上げてくるので、とてもじゃないが一緒に行くことは出来ない。
そんな訳で俺は、ルティス帝国でお留守番である。
でもお土産は欲しいので、こうして仕事の合間を縫って姉さんのもとを訪れ、直談判。
あれこれ言いつつ毎回何かしら買ってきてくれるので、やっぱり姉さん大好き。
「飛行機酔いには注意してくださいね。酔い止め、あれは飲んどくべきですよ。まぁ飲んでても酔いましたけど」
それだけはしっかり忠告しておかねば。あんな辛い思いは二度としたくない。
しかし。
「言っとくが、私はもう何度も飛行機に乗ったことはあるし、酔ったことは一度もないんだからな」
「え。何それずるい。姉さんには分からないんだ。大好きなお菓子が機内食に出されたのに、吐き気のせいで食べられないあの苦しみが!」
「そんなことで苦しむのはお前くらいだ」
ふん。言ってれば良いんだ。舐めるなよ飛行機酔いを。
経験した者にしか分からないんだ。
何で姉弟なのに俺だけ酔うの?あれって体質?体質なの?
「とにかく、私のいない間、しっかり留守を守るんだぞ。良いか?あと、羽目を外して馬鹿なことをするんじゃないぞ」
「俺が何を馬鹿なことをしたんですか」
「ほう?プリンパーティーとか言ってプリンをどか食いしたり、紅茶に砂糖を四杯も入れたことを忘れたか?殴れば思い出すか?」
「ちょ、振りかぶらないで怖い!」
姉さんの言ったことは事実である。過去俺は、一人で数種類にも及ぶプリンを用意してプリンパーティー、略してプリパを開催したり。
自分へのご褒美~、と紅茶に砂糖を四杯、どさどさ入れて極甘紅茶を作成したことは、確かにある。それは認める。
でも姉さんのタイミングの良さも異常だと思うんだ。そういうことを俺がやろうとした、またやってる最中にいきなり現場に現れて、現行犯逮捕される。
もしかして外でタイミング図ってたんじゃないかと思うくらいだ。
「やりませんよ、そんなこと。…多分…」
「おい。何だその頼りない返事は」
だって俺がプリパを開催出来るのは、姉さんの目が届かないときだけだし…。
「そんな…いつまでも子供じゃないんですから、もうちょっと信用してくれても良くないですか?」
「私にとっては、お前はいつまでも子供で、馬鹿な弟だ」
この言いぐさ。酷いと思いません?
…だが、この頃はまだ良かったのだ。
だって。