The previous night of the world revolution
その日、俺は大役を任された。

何かと言うと、ローゼリア女王の膝元で、彼女の身を警護するというもの。

要するにボディーガードやってねってことだ。

普段は俺がそんな仕事を回されることはあまりない。

帝国騎士団の隊長といえども、ローゼリア女王に直にお目にかかる仕事というのは、本当に限られた者にしか出来ないからだ。

だから普段その仕事をするのは、帝国騎士団長であるオルタンスだったり、副団長の姉さん。あるいは、アドルファスくらい。

帝国騎士団のトップスリーが、主にその仕事を担当していたのだが。

生憎現在は、姉さんもアドルファスも留守。

それなので順繰りに、俺にお鉢が回ってきた。

オルタンスはいるけれども、彼だって24時間常にローゼリア女王の傍にいることは出来ない。

そんな訳で交代要員として、俺が選ばれた訳だ。

俺の肝っ玉が意外にビー玉サイズしかないと知っているオルタンスは、荷が重いなら代わっても良いが、と言ってくれたが。

いかに俺の肝っ玉がビー玉でも、俺だって一応帝国騎士団の四番隊隊長なので。緊張するので無理です!は情けなさ過ぎる。

それに少しでも、留守にしている姉さんの分も自分の出来ることをしたかった。

だから、俺はやります!と答えた。

実際ボディーガードと言っても、やることと言えば彼女の傍にいるだけで、余程の非常事態が起きない限りは、ローゼリア女王のお喋り相手をするくらい。

ローゼリア女王に不届きを働く馬鹿な勇者なんて、そうそういるとも思えないし。

大したことはない。俺はそんな気持ちで、護衛役を志願した。




…思えば、これが間違いだった。

このとき、畏れ多いのでやっぱりやめときます、と言っておけば。

あんなことには、ならなかったのに。




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