The previous night of the world revolution
謁見の間には、何週間も前からアポイントを取っていた客人が、順々にやって来た。

ローゼリア女王が贔屓にしている王室つきの商人であったり、ルシアナさんのような民間の活動家が女王直々の支援を求めてきたり。

目的は様々であった。

ローゼリア女王は、それらを全て退屈そうにこなしていた。

実は、俺もちょっと退屈であった。

何せ俺は、後ろでぼけーって突っ立って見ているだけなのだから。

見てるだけってのも結構辛いなぁ…。オルタンスはいつもこんなことしてるのか。

騎士団長も大変だ。

そんなことを思っている間に、本日四人目のお客人が帰っていった。

次の謁見者が来るのを待つ、その僅かな時間。

ローゼリア女王は、視線を少しだけ動かして、俺に話しかけてきた。

「…あなた、四番隊の隊長だったわよね」

「…はい。そうですが」

自分が話しかけられるとは思っていなかったので、少し反応が遅れてしまった。

「ルシェの弟…だったかしら」

「はい」

「まだ若いのに、優秀なのね」

「ありがとうございます。恐縮です」

女王陛下直々にお言葉を賜り、どうにも畏れ多い気持ちにさせられた。

「あなた達姉弟は、随分仲が良いそうね。貴族にしては珍しい」

「は…」

それを誰から。姉さんが自分から言うとは思えないのだが…オルタンスか?

「私が尋ねたら、ルシェはよく、あなたの話をするのよ。いつも仏頂面なのに、あなたの話をするときだけは表情が柔らかくなるから、きっと仲が良いんだろうと思っていたわ」

「…そうですか」

何だかんだで、幼い頃から、姉さんは俺をよく可愛がってくれたからな。

シスコンと呼ばれても否定が出来ないくらいには、俺は姉さんが好きだ。

その気持ちは、いつも変わらない。

…変わらない、はずだった。



その直後、ローゼリア女王のもとに、六人目の謁見者が現れた。




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