The previous night of the world revolution
…思い出した。

全部思い出した。何で忘れていたんだろう。

俺の人生は、地獄だった。

騎士官学校で、自分がどんな目に遭ったのか。俺は何で忘れていたのか。

そういえばルルシーが騎士団を抜けるとき、罪を着せた相手は、俺をいじめていたあいつだったんだなぁ。

ざまぁ見ろと言いたいところだが、俺もそれをやられているので人のことは笑えそうにない。

まぁ、でも、もうどうでも良いことだ。

オルタンスは本当に首尾よく根回ししていたらしく、誰にも俺が冤罪であるということは疑われなかった。

姉さんがルティス帝国にいなかったことは、オルタンスにとって幸いだった。彼女がいれば、こうスムーズには進まなかっただろう。きっと俺が犯人であるなんて信じないから。

姉さんがいない間に、急ピッチで捜査は進んだ。

オルタンスの根回しのお陰で、何の問題もなく俺は犯人に仕立てあげられた。もしかしたら誰かは俺を信じようとしてくれたのかもしれないが、オルタンスと、女王まで敵ならどうしようも出来ない。

オルタンスのことだから、疑いようもない証拠をでっち上げていることだろう。

何より女王自身が、自分は帝国四番隊隊長に殺されかけたと言っているのだから、それを疑う者がいるものか。

女王暗殺未遂という重大事件が後回しにされるはずもなく、異例の速さで判決を出された。

こうして、俺は帝国騎士の職を解任され。

帝国騎士団からも永久追放され。

ウィスタリアの家からも追い出され、名前を奪われた。

傷も癒えないまま、身一つで叩き出された俺は、勿論…あと一秒だって、生きているつもりはなかった。
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