The previous night of the world revolution
後で知ったところによると、俺はルティス帝国の青少年革新運動にどっぷりはまっていて。

それが行き過ぎて、女王を殺そうとしたものと思われているらしい。

青少年革新運動とは、何処の国でもあるが…若者達が、今の政府は間違ってる。だから自分達の力で国を変えよう!と意気込み、いかに政府が腐敗しているか、権力者がのさばっているかと主張したり…。

要するに、中二病拗らせた青少年の集まりだ。

文句だけは一丁前で、国の実態を知らなければ、打開策の一つも提示出来ない、ネットで素人のスレッドを読んだだけで政治というものを知り尽くした気になって叫んでいるだけの、お子様。

そいつらは町中で声高らかに演説したり、勝手にビラを作って配布したりという運動をしている。

大抵の帝国民はそんな若者を見て、あぁはいはい、と白い目でしているが。

心の中に不満を持つ者ほど、自分の不幸を国のせいにして、そのような運動にのめり込む。

俺はその運動に被れていることになっていて、俺のパソコンからは、革新運動のサイトの閲覧履歴が山ほど見つかったとか。

興味もなければ、そんなサイト見たことすらないのだが。

「貴殿の主張は感情論だ。信じないのは勝手だが、証拠があるのは確か。本人の自白もある」

アストラエアは、ウィルヘルミナさんに向かってそう切り捨てた。

本人の自白。これは事実だ。俺は真実を言ったところで決定が覆らないことを悟ってから、わざと彼らの望むような供述をした。

捜査を長引かせたくなかったのだ。どうせ運命は変えられないのだから、さっさと楽になりたかった。

「奴が犯人で間違いない。全く忌々しい男だ。恥を知れ」

「…」

そう言われてもなお、ウィルヘルミナさんは納得がいかないという顔をしていた。

彼女は、俺を信じていた。

俺という人間を、愚かにもまだ…信じていたのだ。

でも俺は知らなかった。知ったところで、どうにもならなかった。

何にせよ、ウィルヘルミナさんに、俺を助けることは出来なかった。






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