The previous night of the world revolution

sideルルシー

ーーーーーー…ルシファーがそんなことになっていると、俺が知ったのは、事が起きてからかなりたった後だった。

俺に知らせてきたのは、アイズレンシアだった。






「ねールル公ー。アリューシャにご飯作ってー」

「…昨日も作っただろ」

俺は仕事をしたいというのに、アリューシャの馬鹿はそんなしょうもないことの為に、わざわざ俺を冷やかしに来やがった。

こういうところ、あいつに似てて寂しくなる。

「だってルル公のご飯美味しいんだもんさ。アリューシャは美味しいご飯を食べられる。美味しいご飯もアリューシャに食べてもらえる。良いこと尽くしじゃないか!何の問題があるの?」

「作る俺の労力が全く計算に入ってないことが大問題だ」

お前にしかメリットがないだろうが。

確かに俺は人並みには料理は出来るけども、特段上手い訳ではないのだが。

如何せんアリューシャの料理の腕は壊滅的どころか、台所を破壊する勢いなので(以前目玉焼きを炎上させて火事になりかけたことがある)、俺はこいつを台所に立たせる訳にはいかないのだ。

とはいえ、何故俺がアリューシャの飯係にならなければならないのか。

「ねぇルル公~」

「うるさいな…。別に良いけど、野菜サラダ作るぞ」

「嫌がらせか!アリューシャの野菜嫌い知ってるだろ!」

「知ってるから作るんだろ」

人に飯を集る割には、こいつは好き嫌いが激しい。

特に野菜は大嫌いで、放っとくと本当に食べない。

かろうじて、俺が調理すると文句言いながらでも食べる。

そんな訳だから、アシュトーリアさんに、アリューシャの為に野菜料理作ってあげてね、と言われる。良い迷惑だ。野菜が嫌いって小学生かよ。

仕方がない。野菜嫌いのアリューシャでも食べやすいように、チキンのトマト煮でも作ろうか…。形が崩れるほど煮込んでいれば、トマトでも食べられるだろう。

なんてすぐに甘やかすことを考えるから、俺も舐められるのだ。

心の中で溜め息をついた、そのときであった。

「ルルシー、入るよ」

ノックもそこそこに、アイズレンシアことアイズが、俺の部屋に入ってきた。

いつもへらへらしているアイズだが、今日の彼は酷く険しい顔をしていた。

反射的に、俺は身を強張らせた。

アイズがこんな表情をするなんて。何事かあったに違いない。

「アイズ、どうした?」

「聞いた?帝国騎士団の、君の親友…大変なことになってるみたいだよ」

「何?」

呑気な俺は、ルシファーの身に何が起きているのか、情けないことに、そのときまで…まるで知らなかったのだ。
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