The previous night of the world revolution
「とはいえ…ルルシー。これは最悪だよ。彼は嫌疑をかけられているんではなく、既に犯人だと断定されてるんだ」

「つーことは、もう真犯人を探すこともしてない訳だろ?ルル公のお友達が犯人で間違いないって言われてるんだろ?じゃあもう、刑罰は免れないじゃん」

…刑罰、だと?

何故彼がそんなものを受けなければならない。絶対におかしい。

「女王暗殺未遂って…刑はどうなるの?やっぱり死刑確定…?」

アリューシャの口から出た、死刑、という言葉に、俺は戦慄した。

しかし。

「死刑にはならないと思うよ。彼は貴族なんでしょう?恐らく貴族特権で釈放される」

と、アイズ。

そうか。ルシファーは貴族だから…庶民と同じ裁かれ方はしないのだ。

とはいえ。

「釈放はされるだろうけど…。その先は地獄だよ。富も名誉も、何もかも全部取り上げられて、文字通り捨てられるんだ。死刑の方がまだ楽なくらいだよ。まして本当に冤罪なのなら…。心に受ける傷は並みじゃない」

「…アイズレンシア」

俺は、拳を固く握り締めた。

「何?」

「もう刑は執行されたのか?ルシファーは、あいつは今、何処にいる?」

「…それを知って、どうするの?」

「…そんなの決まってる」

彼は、自分の危険を厭わずに俺を助けてくれた。

だから、もし彼に何かあったら…その恩を返すって。今度は俺が助けるって、決めたんだ。

「助けに行く。…相手は、帝国騎士団の人間だ。でも…彼は俺の、」

「分かってるよ。協力する。すぐに調べてみるよ」

「アリューシャも付き合うぜ」

二人は、驚くほど簡単に協力を申し出てくれた。

ルシファーは、俺達にとっては敵の立場であるはずなのに…。

「家族のお友達なら、そりゃアリューシャ達にとってもお友達だ。そうだろ?」

にやり、とアリューシャは笑った。

「まぁ、ルルシーを助けてくれた恩もあるしね」

アイズも、同様であった。

…なんてことだ。

「後でアシュトーリアさんにばれたら、怒られるかもしれないぞ」

「家族の命の恩人がピンチを迎えてるのを助けて、それで怒るような肝っ玉の小さい上司なら、家族と呼ぶ価値もないね」

違いない。あの人は、絶対に止めたりはしない。
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