The previous night of the world revolution
何だったんだろうなぁ。俺の人生は。

思い返してみれば、それは酷いものだったじゃないか。

望んでもないのに貴族の家に生まれ、望んでもないのに帝国騎士団に入る為とかいって、望んでもないのに厳しい教育を受けさせられて。

こんなことになるなら、もっと遊んでおくべきだった。普通の、市井の子のように、親に甘えたりとかしてみたかった。

何もしなかったもんなぁ。子供なのに、大人になることを強制されて。

極めつけは、あの騎士官学校だ。あそこで過ごした最初の五年間は、正に地獄だった。

あのときに俺の人生が決まってしまったんじゃないかと思う。

あの頃も毎日死にたかったな。助けて欲しくて、色んな人に助けを求めたのに…。結局、俺が助けて欲しかった人は、誰も助けてくれなかった。

実際に助けてくれた人は、俺が助けを求めるまでもなく助けてくれた。

あの人だけだったんだ。結局彼だけだったんだ。俺を、本当に…愛してくれた人は。

その他の人間は、別に俺が必要だった訳じゃなくて。

俺の肩書きが大事だっただけ。本当の俺を見てくれた人なんて、他にはいなかった。

なんて寂しい人生だろう。まだ若いのに。人生の大半、しんどい思いをして。ようやく名誉を手に入れたのに、それも全部奪われて。

最後はこんな風に終わるなんて知っていたら、俺は生まれてなんてこなかったのに。

あまりにも、理不尽だった。

俺は何も悪いことなんてしてないのに、何でこんな罰ゲームみたいな人生を歩ませられたのか。

今度、もし生まれ変わることが出来たら。そのときは。

「ウィスタリアの次男」でもない、「帝国騎士団四番隊隊長」でもない。

俺という人間を、愛してくれる人達のところに生まれたい。

心からそう思った。

出血のせいか、段々と意識が遠退いていった。

…あぁ、でも。もし現世で、最後に一つだけ許されるのなら。




…もう一度だけ、会いた、



「ルシファー!」









…血相を変えて走ってくる姿を見て、俺は初めて、神様っているんだな、と思った。





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