The previous night of the world revolution
ここ半年。ルシファーは大好きなはずのスイーツすら喉を通らなくなっていた。

栄養のほとんどを点滴で賄っている為か、元々痩せ型のルシファーは、今では更に痩せ細っていた。

見ていて痛々しくなるくらいだった。

俺が食事を作ることで少しでも食べてくれるなら、いくらでも作るが…。

「…そしたらアリューシャ達もおこぼれに預かれるしなー」

「成程、名案だねアリューシャ」

「だろ?」

お前らは俺の飯を集りたいだけだろうが。

よし。アイズは好き嫌いないから諦めるとして、アリューシャ用に野菜たっぷりメニューを用意してやろう。

そこでルシファーは、ようやく少し視線を上げた。

どうやら、部屋の中が騒がしくなったことに気づいたらしい。

「ルシファー。俺が作ったら食べるか?」

「…」

ルシファーは答えない。だが、無視されている訳ではない。

ただ返事が遅いだけか、あるいは声に出せないだけなのだ。

「…作れるの?」

あ、ほら。今日は返事が遅いだけだった。

良かった。会話をしてくれるということは、今日は調子が良いらしい。

「ほぼ毎日このアホ達に集られる程度には作れるよ」

「…」

ルシファーはこくりと頷いた。信じているのかいないのか。そういやルシファーには手料理振る舞ってあげたことなかったんだっけ。

「明日作ってくるよ。何が良い?」

「アリューシャはあれが良い。チキンサルサ!」

「お前には聞いてない」

しかもチキンサルサって。ルシファーには重いだろうが。

いや待て。サルサソースの部分だけなら行けるか?

「…」

ルシファーは何やら考えているようではあるが、言葉には出さなかった。

上手く頭が働かないか。無理もない。

ちょっと彼には難題だったかな。元々スイーツ以外の食べ物については無頓着だったし。

「まぁ、食べられそうなものを適当に作ってくる。ただし、少しは食べろよ」

折角作ってきたのにちっとも食べてくれなかったら、それなりにショックだからな。

「ルル公、サルサは?」

「うるせぇ」

「ひどーい!」

…仕方ないから、チキンサルサも作ってやるか。

自分の甘さに溜め息が出そうである。
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