The previous night of the world revolution
俺の中に、猛烈な怒りが沸き上がった。

人生において、こんなに怒りを覚えたことがあるだろうかというくらいに。

そして同時に、その怒りに負けないくらいの憎しみが燃え上がった。

…ふざけるな、と。

俺がこんなところで、こんな思いをしながら辛い毎日を過ごしているのに。

その元凶を作った、あの女は何だ。何故あんな華やかな場所で、幸せそうな顔で。

多くの人に祝福を受けて。

今まで、誰一人傷つけたことはないみたいな顔をして。

俺の人生を壊しておきながら、何でのうのうと幸せに生活してるんだ。

そして、その女を取り囲む帝国民達。

何も知らない、馬鹿な愚民達。

あんな女、崇めるに値しない。真実を知れば誰も祝福なんてしないはずだ。

俺がこんなに苦しんでいるというのに、あいつらは。

許せなかった。とにかく許せなかった。絞め殺してやりたいくらい憎かった。

怒りを覚えたのは初めてだった。今まで、いじめられていたときも、怒りは沸かなかった。

こんな風になってからも、自分を嘆きはしても、怒りはしなかった。

そのときになって初めて俺は、自分の不幸を自分のせいではなく、他の誰かのせいにしたのだ。

まるで世界が広がるようだった。

そうだ。何故俺が自分を責める?悪いのはあいつらだ。

俺は何も悪くない。俺が悲しむ必要なんて何処にもない。あの女が、そしてオルタンスが、俺を不幸に突き落としたのだ。

だから恨むべきは自分ではない。

あいつらなのだ。

…それが分かってからは、もう自分の運命を嘆くことはなかった。
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