The previous night of the world revolution
ーーーーー気がついたら、俺はいつもの病室のベッドの上に寝かされていた。

相変わらず両手足は拘束されていたし、点滴の管が腕に刺さっていた。

以前の俺は、自分のそんな姿を見て、酷く惨めになったものだった。

しかし今は、何とも思わなかった。

こんなことしなくても、もう死のうとなんてしないのに。

そう。死ぬなんてのは馬鹿馬鹿しい。人間、そんなに死にたがらなくてもいつかは死ねるのだ。

何より、自殺なんかしたら癪じゃないか。あのオルタンスの思い通りにさせてたまるものか。

ここで俺が腐っていたら、あいつらの思う壺だ。

だから死ぬつもりはなかった。少し前まであんなに死にたがっていた自分がつくづく馬鹿に思えた。

驚くほど、頭がクリアだった。二年前はいつもこうだったはずなのに、何であんなにもやもやと悩んでいたのか。

自分でどうにも出来ないことを、ぐだぐだと悩んでていても仕方ないだろうが。

俺が目を覚ましたことに気づいた看護師さんは、宥めるように優しく声をかけてくれた。

情緒不安定だった頃の俺なら、そんな刺激にも耐えられなかっただろう。

だが、今となってはそんな気遣いも必要なかった。

俺は冷静に、ルルシーを呼んでくれないかと頼んだ。

看護師さんは怪訝そうに首を傾げながらも了承してくれた。





それから一時間後に、ルルシーが病室を訪れた。




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