The previous night of the world revolution

sideルルシー

ーーーーー…病院から連絡を受けて、何事かと来てみると。

そこには、変わり果てたルシファーの姿があった。

空虚を宿していたはずのその目は、恐ろしいほどに据わっていた。

前回会ったときとは比べ物にならないくらい、精力に満ちた目だ。

それ自体は喜ばしいことだ。生きる気力をなくしていた彼が、生きる活力を取り戻したのなら…俺は諸手を挙げて喜んだはずだ。

でも、これを喜んで良いのだろうか。

彼の目はぎらぎらと輝いていた。真っ黒に。

この目は…憎悪だ。

激しい憎悪と、そして理不尽に対する怒り。

彼は過去の不幸を受け入れることで前を向くのではなく。

不幸を憎み、運命を憎み、自分を不幸に陥れた人間を憎むことで…無理矢理立ち上がったのだ。

そうしないと生きられないほどに、この男は。



…壊れて、しまったんだ。



このときほどに、帝国騎士団を恨んだことはなかった。

あの組織は、あれほど誠実に、真っ当に生きていた人間を、ここまで言わしめるほどに堕落させたのだ。

マフィアの俺が言える立場ではない。だが、それでも…。

…出来ることなら、彼には、あのまま…正義の道を、生きて欲しかった。

でも、もう駄目だ。

こうなってしまったら、駄目だ。

ルシファーにはもう、他に生きる術がないのだ。

彼が生きる為には、憎悪でもって立ち上がるしかない。

闇に堕ちて、生きていくしかない。

…かつての俺が、そうであったように。

ならば、どうやって俺に、彼を止められるだろうか。

間違った方法でも、ようやく生きる希望を見出だしたこの男から、どうやってそれを奪い取れようか。

…なぁ、ルシファー。

俺は、お前の親友だから。

お前が堕ちるって言うなら、俺も一緒に堕ちる。

俺はただ、お前の隣にいられるなら、それで良い。

守るべき全てを憎み、踏みにじり、闇に堕ちることでお前が生きられるなら、それが正しい。死ぬよりずっとましだ。

だから。
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