The previous night of the world revolution

sideルレイア

ーーーーーー…。

ルルシーは、一瞬だけ…憐れみの目で、俺を見た。

俺がどういう立ち直り方を選んだのか、彼にも分かったのだろう。

間違ってる、と言うだろうか。

そんな方法は間違ってる。道を踏み外すべきではない、と…。

…だが。

「…あぁ、生きてるよ」

ルルシーは否定しなかった。彼もまた、覚悟を決めたのだ。

堕ちるところまで、一緒に堕ちる覚悟を。

「そうするつもりなら、俺からアシュトーリアさんに…『青薔薇連合会』の首領に話をつける」

「そうですか。じゃあお願いします」

俺は即答した。迷う必要はなかった。

ルルシーは、本当に良いのか、とは聞かなかった。

「…なら、名前を変えなきゃいけないな」

「あぁ、そうですね…。今の名前じゃなきゃ何でも良いですが」

『連合会』のメンバーは、皆新しい名前をつけるんだっけ。

忌々しい今の、この名前を捨てられるなら、何でも良い。

いずれにしても、俺は今家の名前を失っているから、名無しも同然だが。

「…ルレイア」

ルルシーは、ぽつりとそう呟いた。

「…ルレイア?」

「あぁ、ルレイア・ティシェリー。戸籍上、お前の今の名前はそうなってる。入院するに当たって、闇に流れてきた戸籍を買った。アシュトーリアさんがつけた名前だ」

成程、ルレイア。

それが俺の新しい名前か。

前の名前よりずっとセンスがあるじゃないか。

「だからお前は、今日からルレイアだ。ルレイア・ティシェリー」

「分かりました」

間にノーブルネームを挟まない辺りが、最高に素敵だ。

その瞬間、俺は完全に正義の道から外れた。

名前を変え、所属を変え、守るべきと教えられたものを踏みにじった。

だが、俺はそのことに快感すら覚えていた。

たった今、ルシファー・ルド・ウィスタリアは死んだ。

俺が殺したのだ。

そして同時に、ルレイア・ティシェリーが生まれた。

同じ見た目でありながら、その中身は真逆の生き物が。

「…最高じゃないですか」

ここから俺の、第二の人生が始まるのだ。
< 346 / 626 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop